本日は緊急レポートとして
平成25年に起こるだろう金融の危機を2つの柱から論じていきます。
私は、この危機を米国が2013年1月に直面するといわれる
『財政の壁 Fiscal Cliff』にならって
『金融の崖 Cliff of Finance』と呼ぶことにしました。
日本版『金融の崖』を論じる前にまず、
米国が直面する『財政の壁』について確認します。
財政の壁とは、
2013年1月に米国が直面する2つの財政関連がからむ
経済の負の圧力を意味します。それは、
1 ブッシュ政権時代から続く所得税の大幅減税の期限が切れることによる実質大幅増税が始まること。
2 オバマ政権がねじれ政権下で共和党と合意した大幅な国家予算の削減(歳出削減)により10年間で1兆2000億ドル(80円換算で96兆円)もの削減が始まります。その半分は軍事費の削減となっていますので、その余波は軍事産業、雇用、ひいてはアジアの平和にも影響を与えるかもしれません。
この財政の壁を回避するために、現在オバマ大統領は頭を悩ませているわけですが、
いち早くFRBはQE3を導入し、援護射撃をしています。
財政の壁もその期限が近づくにつれて、
壁の高さが低くなってきたように感じます。
それに対して、日本の金融業会が抱える
『金融の崖』は私たちの前にそびえ立っているように思います。
私が危惧する『金融の崖』とは
1 安倍晋三自民党総裁が提唱する2〜3%のインフレ政策により、金利上昇が起こり
国内の金融機関が保有する国債などの価値が下落すること。
以前、ブログにも書きましたが、
日銀、IMFがともに日本での金利上昇リスクをシュミレーションし始めています。
日銀の試算では、金利が1%上昇すると約6兆円の損失が金融機関に発生するとのこと。
これが、2%、3%となってしまった場合、単純に6兆の2倍、3倍と言うわけではなく、
20兆、30兆と損失がうなぎのぼりに増える可能性が高くなります。
このリスクがまず一つ目です。
2 中小企業金融円滑化法が
平成25年3月末で延長期限を向かえること。
亀井さんの肝いりで誕生した法律ですが、
すでに亀井さんは政権からはずれ、第3極の一部となっています。
しかし、亀井さんが残した法律は時限爆弾のように
負のエネルギーを溜め込み平成25年4月にタイマーはセットされています。
現在、日本の銀行が抱えている不良債権は
ある試算によると
大手銀行で11兆円、
地方の銀行で19兆円にのぼるとのことです。
この不良債権が一気に表に出てきた場合、30兆円もの負の圧力が
日本経済を覆い尽くします。
1と2の負の圧力が絡み合って60兆円もの損失が表に出てしまった場合、
日本経済はバブル経済で
とことん痛んだあのころに匹敵する痛みを経験することになります。
しかし、私はこの『金融の崖』は日本経済の再生のためには避けて通れない
関門だと思います。
政権にとっては、非常に難しい舵取りです。
ひとつ間違えば、インフレターゲット論が抱える
コントロール不可能なインフレリスクが現実となるかもしれません。
また、急激な円安により物価の高騰、
日本国債の暴落による金利の高騰。
平成25年、金融機関には上記2つの嵐が複合する
『金融の崖』待ち受けているわけです。
そんな中、私たち国民はどんなことに注意して
家計を守っていくべきなのか?
そんなことを真剣に考えるべき時が近づいています。